学生と地域の出会い 〜人生の岐路で得られたものとは〜

学生と地域の出会い ~人生の岐路で得られたものとは~

文・写真:末本圭子

今宿プロジェクトメンバーとして活動してきた2人の大学生が今春卒業し、今宿での活動を離れます。今宿での活動をふりかえり、今、どんな思いをもっているのか、卒業を前に改めて話を聞きました。

石田匠さん

今宿田んぼアートの田植えに参加

石田匠さん(九州大学大学院航空宇宙工学専攻)は、九大の科学教室のメンバーたちとともに、今宿小学校で、「ブーメラン教室」「顕微鏡教室」を開催しました。また、上ノ原の山口喜久雄さんと一緒に天体観望会を2度開き、今宿の多くの子どもたちに科学への関心を広げるきっかけを作ってくれました。

服藤さん

FMラジオの収録(今宿プロジェクトが紹介されました)左端が服藤さん

服藤悠一郎さん(九州大学法学部4年)は、日本中の鉄道を完乗しようと旅を続ける鉄道オタク。交通政策にも関心があり、コミュニティバスなぎさ号の利用状況の聞き取り調査をしたり、今宿を巡るバスツアーの企画・運営に活躍してくれました。

ー服藤さん、今宿で活動するようになったきっかけと印象に残っていることは?

服藤 きっかけは、(運営が厳しい)コミュニティバスなぎさ号から始まりました。今宿を知るために地域の人と交流し、だんだん今宿に住む人たちに愛着を感じるようになりました。

 そもそも必要とされているバスなのかを確認したいと思いました。アンケートとって、インタビューして、その中で、「今宿に住み続けたい、そのためには移動する足が必要だ」という住民の声が伝わりました。なぎさ号に乗って利用者の声がを聞き、運行する姪浜タクシーの社長から今宿の生活の足であるなぎさ号を守りたいという思いを聞き、それぞれの思いがつながっていると感じました。

上ノ原で取材(中央が服藤さん) 姪浜タクシーの岩本社長を取材(左 服藤さん)

末本 他にも、バス旅、まち歩きの企画にも関わりましたね。

バス旅で長垂海岸へ 案内は大内士郎さん (2022年)
今宿上ノ原でまちあるき(2021年)

ー石田さんが今宿プロジェクトと関わるきっかけは?  

石田 iTOP (*)の仲間に誘われて関わるようになりました。気づいたら今宿に住むというかけがえのない経験をしました。
  
 (*)iTOPは、糸島市で地域と学生をつなぐまちづくりに取り組む学生団体

末本 石田さんの科学教室は大好評でしたね!

iTOPのメンバーと 右端が石田さん
ブーメラン作りに寄り添う石田さん
ブーメランの仕組みをわかりやすく説明して、デモンストレーションをする石田さん

ー糸島を含め、地域でいろんな人と会っているけど、今宿の印象は?

左 石田さん   右 服藤さん       今宿 横浜のウィンドファームにて

石田 科学教室を開催するきっかけを作ってくれた人との出会いは大きいです。「いいね、おもしろいね」と肯定から入る方で、生き生き生きる大人の理想像に見えました。

服藤 今宿では、自分のテーマを何かしら明確に持っている人に出会ったという印象です。たとえば田んぼアートなど、自分らしさを表現する場がある、自分のストーリーを持っていられる場がある、それが今宿なのかと思います。

末本 ふだん寡黙な地域の人が、大学生を前に饒舌に語るのが印象的でした。若い人に伝えたい気持ちが溢れていました。外からの人が関わる意味は、こういうことかと思いました。

ー活動を通して、何か感じていることは?

石田 大都市圏の大学に行っていたら、たぶん就活に全力を注いでいたと思います。企業で働く大人としか会わなかったかもしれません。周りにいる学生も、いい会社に入るためにどう動くか、そこに学生時代の時間を割いていたと思います。
 受験が終わって間もない10代の終わりに、今宿で自分らしさの軸をしっかりもち、哲学をもって生きている大人に出会ったことは、自分の進路選択に、影響を受けたと感じます。

末本 いろんな大人をみてきたことが、今の就職や生き方に少し影響したということ?

石田 服藤 かなりというか、完全に影響されました(きっぱり!)

今宿のまちあるきで上ノ原のお宅を訪問 ものづくりを楽しむ暮らしに触れる (左端 服藤さん)

服藤 人口減の中で地域活性を考える時、地域同士が人の取り合いをすることになります。今住んでいる人がそこに住みたいと思わなければ、人は流出していきます。今宿での活動に関わる中で、特定の地域でエネルギーを注ぎたいと思いました。それが自分の中で整理されて、学者の道ではなく、行政の道に進もうと思いました。それも政府ではなくて、自治体です。

末本 直接、人の存在を感じられるところ?

服藤 エンドユーザーが見えているだけでなく、土地に根ざしていることが自分にとって重要と気づきました。一人一人の個性と土地は不可分になっています。少々難しいことであっても、それを守りたいなと思いました。

末本 そんな目線で見ると、たとえば獅子舞を続けていることの豊かさがわかる気がします。そこに時間をかけることの豊かさ。
 
末本 土地に根ざして、地域で暮らしている人に、行政として関わりたい?

服藤 行政として励ます立場で関わりたいです。大学に入った頃、人に共感されなくても自分だけのテーマを作って、学者にならなければならないと思っていました。でも地域に関わり、いろいろな人に会って、共感できるものがあることはいいなと思えました。共感できることは幸せと気づきました。

服藤 学問として学ぶのは、因果関係のロジックの世界だけど、最後にくる生きる目的は、幸せになることだと先生に教えられました。「生きる目的を忘れないように」というのは、大事なアドバイスでした。

石田 進路の選択肢を提示するってすごい先生!専門を高めていくだけじゃない世界があること、合理性だけではないということを言ってくれたんだね。

赤米や黒米など植え分けて、秋には田んぼアートになる   貴重な体験に参加した石田さん

石田 いろいろな価値が混じり合う中で大学生活を過ごせました。今から必要とされる最新の航空技術を学べたことは魅力的でしたが、それと同時に技術の対極にあるもの、心を豊かにする術と接することができました。その両方の価値を知り、結果として地方で暮らしたいと思うきっかけを得られました。

末本 対極にあることを知ることができた、それで自分は研究職ではないなと思って、地方で暮らせる今の仕事を選んだのかな?

石田 その通りです。もともとは、飛行機を作りたい一心で大学に入りました。でも飛行機を作るよりも、自分の生活にフォーカスしていきたいと思うようになりました。

末本 でも志はまたどこかで生きてくるだろうし。

石田 絶対どこかで、関わり合うと思います。選んだのは空に関わる職業だし、友だちが作ったものを、自分はその技術を運用する立場で働きます。空への夢は全然捨ててないし、今も空への夢を追いかけまくってます。

末本 地域に関わったから何か得することがあるとか何もない中で、「なんかわからないけど おもしろそう」「力になれることがあるなら」と損得抜きで関わってきたのはすごいと思います!その分、得るものがあるといいなと願うけど、活動するそれぞれが気づいていくものなので、これが得られますよ、とは言えないなあ…。みんなは、それぞれの活動経験から、自分なりの意味を見つけていったんだね!

末本 どんな人に会うかって、大きいね。

石田 人生の岐路に立っていた時の出会いは大きいです!

服藤 進路形成には、ガチで地域の人との出会いは影響してるね。

石田 まちがいなく。

末本 みんなの後輩には、今宿、おもしろそうと思ってもらえたらいいです。学生時代だからできる経験のひとつのフィールドとして。遠くに行っても、みんなと今宿の縁がこれからも続くことを願っています。

福津研修#1〜男女共同参画の視点から学ぶ

福津研修#1〜男女共同参画の視点から学ぶ

2022年7月7日、今宿から福津市へ視察研修が行われました。主催は、今宿校区男女共同参画部会(会長 松本真理子)で、参加者は部会の委員に加え、自治協役員、公民館、今宿プロジェクトの九大生など約30名。コロナ禍の影響で2年にわたり、2度の延期を経ての実現となりました。

松本会長は「女性の考えが地域に反映されることをめざして、学び続けています。」と今宿での活動を紹介。

今宿校区自治会長吉村さんは「今宿は、人口は増えているが、二極化している。今後のまちづくりが課題。女性と男性が協力し合っていかないと難しい世の中になっている。今宿校区のためになるように、福津から学んでいきたい」とあいさつ。

福津から学ぶ

福津市ふくとぴあで、福津市の男女共同参画室地域推進委員、ふくつ男女共同参画協議会「綸りん(りんりん)」、市民ボランティア団体「ふくつながり」のそれぞれの成り立ちや活動が紹介されました。
「綸りん」は、福岡県内で、災害対応カードゲーム教材「クロスロード」の講師を務めています。
ふくつながりは、100人女子会&ふくつマルシェなどを開催し、男女年齢を問わず、幅広い人や、コト、モノとつながりたいという思いで活動しています。そこから、「子育ち応援隊」「居場所づくり」「稼ぐまちづくり」などのグループが誕生しています。

今宿からの参加者は小グループに分かれて、各グループに「綸りん」のメンバーが進行役に入り、にぎやかに、そして気づきの多いクロスロード体験をしました(詳しくは、別記事)

その後、津屋崎千軒へ。地元のガイドさんの案内でまち歩き。
「藍の家」、古民家再生の雑貨店、歴史のある筑前津屋崎人形巧房、豊村酒造、新泉岳寺四十七士の墓碑を巡りました。その後、宮地嶽神社に参拝。(まち歩きについては、別記事)

ブーメラン教室

ブーメラン教室
〜今宿プロジェクトと今宿小学校PTAの協働企画

2022年6月4日(土)今宿小学校体育館でブーメラン教室が開催されました。

今宿プロジェクトと今宿小学校PTAの協働企画で、講師は九州大学iTOP(アイトップ)科学教室の9人の大学生でした。2部にわかれて合計50名以上の児童が参加し、地元の中学生2人もサポーターとして手伝ってくれました。

自作のブーメランを掲げる子どもたち
iTOP科学教室の大学生と中学生サポーター

講師は九州大学iTOP科学教室のメンバー

iTOP科学教室代表の藤江勇仁さんは九州大学理学部物理学科2年生。

「かんたんで楽しみながら学べる教室をやっています。ぼくらも楽しんでやりたい」と子どもたちにあいさつし、テーブルごとに大学生が子どもたちのサポートに入りました。

iTOP科学教室代表の藤江勇仁さん

ブーメランの歴史としくみを知る

「ブーメランは何のために使われていたと思う?」の問いかけに始まり、狩りの道具だった歴史を知りました。「投げてみるよ、何に気づくかな?」投げると弧を描いて手元に戻ってくる紙のブーメランに、子どもも保護者も興味津々。 ブーメランをかたむけると、上向きパワーが横向きパワーに変わり、それがブーメランが戻ってくる秘密だと知りました。

機械航空工学科修士1年の石田匠さんによるクイズと実演

ブーメランを作成し、飛ばしてみる

3本の厚紙をホチキスで留める
3本のはねに、ゆるやかなカーブをつける
ブーメランを飛ばす  かたむき加減に工夫がいる

それぞれの想い

体験活動を見守る保護者の方々の感想をききました。

「うちの子どもは、もともとものづくりが好きなので、このような体験があれば、遊びに行くよりはこちらを選びます」

「子どもがいきたいと言ったので参加しました。時間が合う時はこれからも連れて行ってあげたいです」

「こういう機会はあまりなかった。男の子なので興味があるかも、と親の方が乗り気でした。子どもも行ってみようかなと言ったので、参加しました。大学生と関わることはふだんないので、それもいいなと思いました」

「4年生の息子は科学クラブに入っています。将来、何になるかわからないけど、今興味をもっていることはいろいろ試したらいいのかなと思います。このようなことは、たくさんやってほしいです」

だんだんコツをつかむ子どもたち

講師の大学生の感想です

「大学生になってから子どもたちとの関係が遠くなったと感じています。それで、小中学生との関わりに関心があります。今宿の地域の人とも関われる機会になりました」

「作って飛ばしてみる体験は、子どもたちが楽しんでいて、その姿を見ることができるのでいいなと思います」

うまくブーメランが戻ってきた時、「今の見た?」と自慢げに親の方をふりかえる子どもの姿がありました。 また、教えてくれた大学生と子どもが「やったね」とハイタッチする光景も見られました。

身近なところで、子どもとおとなと大学生が、学び、交流する機会となりました

ブーメラン教室

ブーメラン教室

ブーメラン教室

ブーメラン教室

ブーメラン教室

復活継承してきた今宿青木獅子舞〜それを支える人々

復活継承してきた今宿青木獅子舞〜それを支える人々

写真・文 末本圭子         取材協力 柴田理香

獅子舞の歴史は古く、約1300年前、高祖山の怡土城落成の時、青木地区の住民が獅子舞を奉納したのが始まりと伝えられています。戦後一度復活しましたが、後継者不足で途絶え、昭和50年に再復活しました。昭和52年、「福岡市無形民俗文化財」に指定され、今に続いています。

八雲神社の元旦の奉納
練習に集まった獅子舞保存会のメンバー

参加のきっかけ


復活させた当時のメンバーから地域の男衆に伝承してきました。そのためメンバーの大半は青木に住んでいる人で、親子3代で参加している人もいます。

メンバーのひとり藤井さんは、「サラリーマン生活が終わり、青木に戻ってきた時に、町内のことをほとんど知らないなと気づいた。青木の親善スポーツ大会で獅子舞を見て、びっくり。こんなのがあったのか!地元に溶け込むなら、これをやってみたいと思った。妻の勧めもあった。」と参加の動機を語ります。

上原文兵さん(35歳)は、「縁でしかない。結婚した妻は青木出身で、義理の父は獅子舞保存会のメンバー。自分も小さい頃から獅子舞を見ていたし、無形文化財を保存する活動はおもしろそうだと思った。」と言います。
後からもうひとつの動機を聞きました。「獅子舞保存会のメンバーは、自分が小学生の時にソフトボールを教えてくれた地域のお父さんたち。お世話になったので、今度は獅子舞で貢献できるならうれしいと思い、引き受けた。」
上原さんは、22歳まで青木で育ち、今は東区在住。毎月、獅子舞の練習日に合わせて青木の実家に帰省しています。「今宿は住みたくなるまち。いつかは帰ってこようと思う。」と語ります。

笛の練習をする上原さん

今宿小学校で体験学習

今宿小学校の3年生には平成12年から毎年、獅子舞を披露して、子どもたちにも実際に体験してもらっています。体験後、「これからもやりたい」という3年生の男の子が練習に参加するようになり、その子のお父さんもいっしょに入会しました。

活動内容

八雲神社の元旦奉納、老人ホーム等約10カ所を慰問(元日)、今宿小学校での体験学習、など地元での活動とともに、平成25年のWBC(ワールドベースボールクラシック)福岡大会レセプション出演など、多い年は、19公演に及びます。

そのため、新しい人が入ってきても覚えられるように、20年前から毎月練習するようになりました。

継承

3代前の会長 久保矯志(ためし)さんがセリフを文字に起こしてくれて、それを継承しています。それでも、「あやとり」「鬼女」の2演目は、セリフや曲がわかる人はもういなくなってしまいました。

1951年(昭和26年)獅子舞集合
2015年八雲神社にて

舞うことの難しさ

獅子の頭は重さ8キログラム。獅子のたてがみを振りまわし、胴体の3メートルの布を引き上げるので、それ以上の重さに感じるそうです。
獅子頭と尾の呼吸を合わせるのが大変で、合っていないと獅子(の胴)が折れたり、胴布が無駄に突っ張ったりして力を消費してしまいます。獅子が折れるのは、一番見苦しいそうです。尾の方の人は、頭を下げたまま、腰を曲げた姿勢で、獅子頭の人と距離感を保つことになります。頭をあげて、ラクダのこぶのようになっては大変。
年長者がいっしょに駆け回り、若い人も息を切らして何度も動きを確認していました。

青木の集会場にて練習風景
20年以上獅子頭を務める渡辺清嗣さん

地域の文化を継承する活動に関心がある方は問い合わせてみてはいかがですか。

問い合わせ先

今宿青木獅子舞保存会  会長 柴田康幸
            TEL 092-806-6000
携帯 090-8834-8328

地域の伝統を受け継ぐ子どもたち ~今宿・玄洋子ども太鼓~

地域の伝統を受け継ぐ子どもたち ~今宿・玄洋子ども太鼓~

体育館いっぱいに響く太鼓の音。「今宿・玄洋こども太鼓」の練習が、今宿青木の西部ガスの体育館で行われています。

ここ2年あまりは、コロナ禍でみなさんに見てもらう機会がないまま、6年生は卒業していきます。12月の練習風景に立ち会いました。

始まり

「今宿・玄洋こども太鼓」の始まり。今宿纒太鼓のメンバーの子どもたちが、親の練習に同行していて、見様見真似で太鼓を叩き始めたのをきっかけに、子どもたちで太鼓チームを作ろうということで、平成7年に結成しました。

今宿纒太鼓とは

メンバー全員が福岡市西消防団 今宿分団の団員で、ポンプ操法大会の応援太鼓をきっかけに、昭和49年より、消防のイベントなどで活動しています。

纒(まとい)とは

長い棒の先に​​​​纒頭という飾りをつけて、その下に馬簾(ばれん)という房飾りを垂らしたもので、江戸時代の火消しの組の旗印になっていたそうです。現在でも、分団ごとにマークがあります。馬簾は、火の粉を払うということで、縁起担ぎの意味もあります。纒を振る時に、太鼓を叩いていたのが、今の纒太鼓の元になっています。

活動内容

主に、各町内の夏祭りや、今宿商工会祭り、徳正寺花祭り、今宿花火大会など、地域のイベントに出演しています。文化祭でダンスサークルとコラボしたり、福岡ボートのイベントや福岡市役所のイベントにも出演したことがあり、依頼があれば、どこへでも駆けつけます。西区まるごと博物館という西区役所のイベントにも毎年参加していて、今宿纒太鼓ともども、西区の宝として登録されています。

教えているのは

現在、子どもたちにボランティアで教えているのは、西消防団 今宿分団の団員で、今宿纒太鼓のメンバーである高木英和さん(今宿谷在住)です。

高木さん談

練習会場は、いくつか転々と変わりましたが、今は、西部ガスの体育館を借りて練習しています。太鼓の音はとても響くので、音が出ないようにラバーを被せて叩いたこともありましたが、ここでは思いっきり叩くことができます。今は男子が多いけど、一時期は、女子が多いこともありました。コロナ禍の今、発表する機会が少ないけれど、逆に、曲を覚える時間がたくさんあります。まず、声に出して曲を覚え、それから、バチでたたく練習に入ります。口で言えないと、みんなでたたいた時に合わないからです。

曲のレパートリーには、『海』、『仲間』、『瞬間(とき)』、『舞』、『美ら海』、『八木節』、『三宅』、『祭り』、『回帰』などがあります。

子どもたちより

6年生2人に話をききました。

「(太鼓の魅力は)みんなで最後に音がピシッと合った時の気持ちよさです」

「(太鼓を始めたきっかけは)谷の祭りで見て、かっこいいなと思って始めました」

小学生の皆さんに対しては、「気持ちいいし、かっこいいので、ぜひ、いっしょにやりましょう」とメッセージをいただきました。

【問い合わせ

練習は月に3回程度、土曜日に実施していますが、今宿か玄洋の各公民館にお問い合わせください。

会費はいただいてませんが、はっぴ、バチなどの費用は、入会時にいただいてます。(13,000円程度)

「今宿プロジェクト」楽しく学べるワークショップ講座 その2 記事を書くには準備が命!

すぐに書かない文章講座

2021年8月27日「今宿プロジェクト 楽しく学べるワークショップ講座」第2回は、「すぐに書かない文章講座」と題して、書くためにどんな準備が大切かを講義と実践で学びました。

講師は、福岡県糸島市のフリーライター、制作ディレクターで、一般社団法人ママトコラボ代表理事の尾崎恭子さん。

尾崎さんは、妊娠中に働き方を変えてフリーとなりました。

子育て期の女性の多様な暮らしと働き方を提案・実践する3児の母です。

文章を書くのが楽しい!好き!になるには

まず、「文章を書くのが苦手という人は多い。文章の構造を理解し、文章を書く前の下ごしらえをすれば、何を書けばいいのかハッキリして、伝えたいことが伝わり、『書くのが楽しい!好き!』になる。」から始まりました。

教えていただいたいくつかのポイントは、

・読む人が素早く理解しやすい文章の構成

・ネタを書き出し、筋が通る文章になるように組み立てる手順

・よい文章とは最後まで読んでもらえる文。そのためには、信頼性のある事実を書く、事実と意見の区別をつける、

・正確に伝えるために「文を磨く」

・言葉の力を高めるには、いろいろなメディア(本、新聞、漫画、映画)から、心に残るものを自分の中に言葉として蓄えていくことが大切。

EMOの法則で感情を揺さぶる

惹きつける見出しのコツは、EMOの法則で感情を揺さぶること。
Eは、「え~っ」という意外性

Mは、「むむむっ」と腑に落ちないモヤモヤ

Oは、「お~っ」そうだったのか!という納得感

ということで、この続きは次回の講座に続きます。

今日学んだことから各自、「今宿の人、モノ、コト、場所、暮らしなどについて紹介する記事を作成しよう」という宿題を受け取りました。

KBCラジオが今宿で生中継

KBCラジオが今宿で生中継

2021年8月5日、KBCラジオ「アサデス。ラジオ」の中で、今宿プロジェクトを紹介していただきました。生放送の中継は、今宿野外活動センターの一室でした。マスク越しでもわかる満面の笑みと元気な声で部屋に飛び込んできたのは、アイタカーリポート担当のアイタガール岡部さんと國﨑さん。一瞬あっけに取られた私たちは、「かわいい」と顔を見合わせてつぶやきました。

アイタガール岡部さん

今宿プロジェクト約20人のメンバーのうち、今日の出演は九州大学4年の学生リーダー横川さんと九州大学芸術工学研究院の張さんと鶴田さん。本番1時間前の打ち合わせで「どんな活動ですか?」「きっかけは?」「今宿に魅了されて移住したのですよね?」に答えながら、内容を確かめていきました。

「ラジオなので、聞きにくい言葉があるとリスナーは耳をふさいでしまうんですよ」と指南され、内容をシンプルにラジオ対応の言葉に整理していきました。

スタジオのラジオ放送を聞きながら、だんだんアイタカーリポートの時間が迫ってきます。少し緊張しながらも、楽しい雰囲気の中で本番終了。

取材前に今宿をまわって、今宿の魅力の一端に触れたアイタガールの岡部さん方。

今宿は、糸島に行く途中にあるところという印象から、なんだか変わった様子です。ぜひ、また今宿に遊びに来ていただきたいです。

今宿プロジェクトメンバーとアイタガール
ラジオ中継を見守った今宿プロジェクトの応援団・姪浜タクシー社長の岩本さん、今宿野外活動センターの大河さん

真夏の空と山の緑がまぶしい今宿野外活動センターからは、騒がしいセミの声を聞きながら、光る海が眺められました。

楽しい学びを子どもたちに〜わくわく今塾〜

楽しい学びを子どもたちに
〜わくわく今塾〜

写真・文 末本圭子

2021年7月17日、今宿公民館でにぎやかな子どもたちの声が響いていました。小学生15人が参加しているわくわく今塾の今日のテーマは、「三角綱引き」。
3人がロープを引っ張り合い、バランスをとって水が入ったペットボトルをバケツに入れる活動でした。そのあと、3つのばねばかりを使って三角綱引きのしくみをみんなで話し合いました。各グループには、アシスタントボランティアの高校生4人が寄り添いました。

 

 わくわく今塾とは

わくわく今塾は、「楽しい科学実験や身の回りを観察して、 自分で「なぜ?」を探して考えてみよう‼ 何か面白い発見があるかもしれない」を目的に開催される17回の連続講座です。
講師は、今宿在住の福岡大学名誉教授 山口住夫さんです。
山口さんは、大学の定年を機に、「今までと違った、もっと楽しい教育を作って、広げてみたい。そうすれば、子どもたちの目も輝くし、地域の子どもたちが生き生きしていることが、大人たちにとってもいちばん喜ばしいことではないか。それを故郷の今宿から広められないか。」との思いから昨年8月から活動を開始しました。

山口住夫さん

 

子どもの経験を増やしたい、それは「あそぶ」ことから

「大学で50年教えてきて、学生の想像力が乏しいことがずっと気になっていた。それはなぜか? 子どもの頃に、自由な「遊び」をあまりやっていないからではないか。小学校以来ずっと、習ったことだけをそのまま覚える「勉強」を求められて、自分の連想や考えを話す機会が無かったのではないだろうか。子どもの経験を増やすこと、それはいろんなことを「あそぶ」ことに外なりません。」と山口さんは話します。

体験と知識をつなげる

「習ったこと、難しいことを、自分の体験と結びつけて語れるようになってほしい。そうすれば、知識がホンモノになる。たとえば、料理はすべて化学実験。掃除は、物理のかたまり。家事の手順はプログラミング。」と山口さんは高校生たちに語ります。
公民館の古川館長は、「今つながらなくても、後でつながる時がくるので、むずかしいことも子どもたちに話してください」と山口さんにお願いしているそうです。

地域の問題に気づけるボランティア活動

玄洋高校2年の八谷直登(はちやなおと)さんに、アシスタントボランティアに参加するきっかけをききました。

「玄洋高校ではSDGs(※1)クラブに入っています。これまでボランティアをやりたくてもきっかけがなかった。他の部活動でやりたいと思えるものがなかったけど、SDGsクラブならやりたいと思えた。他には「今津元寇防塁・松原掃除ボランティア」に参加したことがあります。
SDGsクラブの活動を通して、地域の人とコミュニケーションとったり、知らなかったことを知ることができたり、地域の問題に気づくことができたりします。いろんな経験ができて将来を考えるきっかけになると思います。」

アシスタントボランティアの高校生と小学生たち

地域と接点がある学び

講座に参加する生徒たちを見守っていた玄洋高校の松畠教頭先生と安川進路指導部長にもお話をききました。
「生徒たちは地元愛が強く、就職を希望する大半は地元企業を選択します。大学進学をする生徒の中には、地方創生系の学部に進む子も多い。だから、地域と接点がある学びが大切だと考えています。」
「ボランティア活動を通して、地域での自分の関わり方を見つけてほしい。自分の身の回りの困りごとに対して、どう参画していくか、自分がどう役立つか、考えてほしい。それが、自己有用感を高めることや進路実現につながると思います。」

ボランティアクラブから、SDGsクラブへと名称が変わったのは、生徒たちがボランティアよりもさらに主体的に社会の課題に関わってほしいという思いからだそうです。
地域の中に、子どもの学びに貢献したい人と、地域の課題に関わりたい学生がいることで、どんな展開になっていくのか、楽しみです。

わくわく今塾についてはこちら
https://www.facebook.com/%E3%82%8F%E3%81%8F%E3%82%8F%E3%81%8F%E4%BB%8A%E5%A1%BE-106114187848616


※1 「SDGs(エスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標です。
貧困や飢餓といった問題から、働きがいや経済成長、気候変動に至るまで、21世紀の世界が抱える課題を包括的に挙げられています。

叶嶽神社 春の大祭のお知らせ

叶嶽神社 春の大祭のお知らせ

叶嶽神社 登山口

日時:4月4日(日)
場所:叶嶽神社

午後2時頃まで本殿、遙拝所でらくがんやお神酒の接待を行っています。桜の季節、お弁当を広げる家族連れも多いです。駐車場は3ヶ所で合わせて40台くらい停められます。コミュニティバス「なぎさ号」を利用するときは、「叶嶽宮前」下車になります。

僧侶によるお経と、楽しくてありがたい講話があります。
【僧侶の講話予定時刻】
本殿:9時、10時、11時頃
遙拝所:13時半頃

今宿かるたに受け継がれた地域の想い

今宿かるたに受け継がれた地域の想い

写真・文 末本圭子

今宿かるた
今宿かるた 読み札
今宿かるた 読み札

 今宿を歩くと、どこかで「今宿かるた」に出会っているかもしれません。かるたの題材になった場所に、「今宿かるた」の読み札が建てられているからです。いろは47文字で作られた読み札は、51札あり、今も史跡のかたわらに寄り添っています。かるたはこれまで20年、公民館や学校の郷土学習で使われ、地域の宝になっています。

 「今宿かるた」はどのように地域で受け継がれてきたのでしょうか。


高齢者からのバトン

高令者教室の記録表紙

 昭和56年(1981年)に今宿公民館で作成された「今宿高令者教室の記録」には、「今宿のむかしむかし」という歴史地図が掲載されています。123カ所の地点をチームで分担して調査し、作成したものです。
「学識者や街の古老からの応援を得て、写真を撮り資料を追って調査した」
「この事業は、校区の子々孫々に伝える何よりもよいプレゼントになる」
など、参加者の感想からは意欲と使命感がにじみます。
 当時の受講生は60歳以上の方だから、現在100歳以上の方が、次世代のために伝えてくれたことになります。この歴史地図が、次の展開に繋がりました。


バトンを受け取った母子たち

 平成10年(1998年)玄洋公民館の「地域づくり講座」に参加した4人の女性が編集者となり、「みんなで遊ぼう 今津・玄洋・今宿 探検ガイド」を制作しました。これは、子どもたちと歩き聞き、写真を撮った記録で、当時は写真やイラストを切り貼りして原稿を作る作業だったようです。

探検ガイド 作成メンバー

 歴史地図が次世代の手によって、校区の歴史・伝統・自然のガイドブックになりました。

探検ガイド
探検ガイド
探検ガイド


手づくりかるたから、印刷版「筑前今宿歴史かるた」へ

 平成12年(2000年)、遊びを通して今宿の良さを次世代の人たちとも分かち合いたいと、かるた制作が高齢者教室のテーマに盛り込まれました。そこで参考にされたのが、今宿歴史地図でした。
 手づくりかるたは、今宿小学校1年生との世代間交流の中で初披露され、その後郷土史家の大内士郎氏により「今宿いろはカルタ」として地域情報誌「今宿タイムズ」に連載されました。
 こうして、平成13年(2001年)大内氏の監修による解説書とともに、印刷版「筑前今宿歴史かるた」が完成しました。

今宿かるたと解説書

 それから約20年、郷土を楽しく学ぶツールとして活躍してきました。
 令和2年(2020年)今宿商工業協同組合創立60周年記念誌に、新たに編集された「筑前今宿歴史かるた~今宿の歴史を学ぶ~」が掲載されています。(著者 田中佳子氏)

記念誌表紙

 今宿タイムズに20年関わり(そのうち10年は編集長)、探検ガイドが作成された時に講師を務めた大内士郎氏(当時は玄洋公民館主事)に話を聞きました。


今宿のことを何らかの形で伝えていこうと思う人たちがいたから続いてきた活動。歴史の一端を知ることはすばらしいこと。西都小、玄洋小、今宿小の子どもたちに毎年今宿の歴史や文化を話したり、現地を案内したりしているが、子どもたちから「歴史っておもしろいな」という感想をもらう。このような気持ちが途切れなければいいなと思う。

郷土史家・大内士郎氏からのメッセージ
(左)郷土史家・大内士郎氏


取材を終えて

 「あの時、あの人にあの話をもっと訊いておけばよかった、と思うことがある」と大内さんが言われたのが印象的です。今でも昔を知る人に直接話を聴くことを大切にされています。
 唐津街道沿いの文化財資料室で話を聞いていると、地元の方が大内さんを訪ねて来られました。今宿についての童話を書くための聞き取りでした。このように、いろいろなやり方で、郷土の歴史が受け継がれていくのだと感じました。