今宿の欠かせない生活の足、「なぎさ号」
その現状と、守り続ける努力について

写真=岩本社長・横川千夏・時川碧海・服藤悠一郎 文=服藤悠一郎
姪浜タクシーは、福岡市西区を中心に、タクシー・貸切バス・路線バスを運行する会社です。特に路線バスの「なぎさ号」は、今宿に住む人々の生活の足として、重要な役割を担っています。そんな姪浜タクシーの実情と取り組みについて、岩本社長にお話を伺いました。

「なぎさ号」とは

「今宿姪浜線」とは、姪浜駅北口~今宿駅前~今宿野外活動センターを結ぶバス路線です。姪浜駅北口~今宿野外活動センターが、平日9往復・土日祝日8往復、今宿駅前~今宿野外活動センターが平日1往復設定されており、乗車定員32人(座席定員18人・立席14人)の小型バス「なぎさ号」で運行されています。
主な利用者は、買い物や通院をされる地元の方々です。筆者が乗車した時も、マルキョウがある青木入口と、住宅地に近い上青木の停留所で、乗り降りが多かったように思います。また、利用者の多くが回数券を利用されていました。車内でお話を伺うと、自分では運転されない高齢の方が、頻繁に利用していると答えて下さいました。今宿に住む人々の多くが車で移動する中で、バスを必要としている人が、数は少なくとも確かにいらっしゃいます。
元々この区間は、昭和バスの路線でした。しかし、青木・上ノ原は今宿でも特に人口減少率・高齢化率が高い地域であり、収支の悪化から昭和バスが平成17年に路線廃止を申し出ます。そこで、平成18年に地域住民・姪浜タクシー・福岡市による連絡協議会が発足し、姪浜タクシーが運行を担い、福岡市が経費を補助して路線を維持する、現在の体制に移行しました。
路線存続の在り方について検討するため、同年に9人乗りのハイエースを使用した実証実験が行われました。その中で、1便に15人ほどの需要があることが分かり、小型バスでの運行が始まりました。しかし、その後も沿線人口の減少が進行し、運営は厳しい状況にあります。
フリーパス「通行手形」

定期的な利用者の減少が今後も見込まれる中、沿線内外の人々に観光利用してもらおうと、姪浜タクシーでは日曜・祝日限定のフリーパス「通行手形」を発行しています。「なぎさ号」の沿線には、生の松原にある防塁や叶嶽神社などの見どころや、今宿野外活動センターという体験施設があり、これらを訪れる際になぎさ号を利用してもらうことが目的です。この「通行手形」には特典がついており、沿線の飲食店で提示するとサービスを受けられる企画「麵街道の旅」を行っています。また、この「通行手形」を野外活動センターで提示すると、スポーツ用具の貸し出し、または利用料金の割引を受けられます。
コロナ禍での取り組み

新型コロナウイルスの影響を受けて、「なぎさ号」の利用者数が、令和2年度は前年度に比べて3割以上落ち込み、特に土曜日・日祝日の利用者数は5割近く減少する、深刻な状況となりました。また「なぎさ号」に限らず、貸切バスの需要が減少し、整備費用が会社の経営を圧迫しています。
そこで姪浜タクシーでは、人々が外出を控える中でも、野外活動センターの駐車場が土日ごとに満車になることに注目しています。なぜなら同センターでは、主に家族連れを対象とした様々なイベントを開催しており、また同センターはハイキングコースのスタート地点として知られているため、多くの人々が訪れるからです。実際、コロナ禍に入ってから利用者が増えたそうです。密回避が叫ばれる中、アウトドア体験に対する関心の高まりに驚いたと、社長はおっしゃいます。令和3年度は、自家用車で同センターを訪れる利用者になぎさ号を使ってもらおうと、ハイキングと食事を組み合わせたツアーを企画しています。
今後は、沿線の魅力を大学生にも知ってもらい、貸切バスの利用につなげたいと意気込んでいらっしゃいました。今宿にお住まいの方もそうでない方も、バスを利用して、「密」にならない余暇を過ごしてみるのはいかがでしょうか。

姪浜タクシーからのお知らせ
姪浜タクシーでは、スマホ向け無料配車アプリ「西タクInfo」を公開しております。お名前とお電話番号を登録して頂くと、通話もしくは画面の操作でタクシーを依頼することができます。「なぎさ号」の時刻や沿線のイベントについても、アプリからご確認ください。
ダウンロードは、こちらのQRコードから。ぜひご利用ください。

リンク
・姪浜タクシー:http://www.meinohama.co.jp/
※「なぎさ号」については、「路線バス事業」からご確認ください。
・今宿野外活動センター:http://imajuku-yagai.jp/
※新型コロナウイルスの流行を受けた施設の利用状況につきましては、最新の情報をご確認ください。
本当に有難いバスです。地域密着型、優しさにあふれるバスだと思います。年齢を重ね、免許証返納した人にとっては、大事な「足」となります。高齢者の事故が発生するたびに、今宿にはなぎさ号があるから、早めに免許証返納しようと思います。
姪浜タクシーの皆さま、これからもよろしくお願いいたします。
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今日は台風11号接近で、朝から筑肥線は運休していました。午後、たまたま利用したなぎさ号には、乗客が10人以上。2人席に初めて相席しました。途中のバス停からも何人も乗って来られて、着席できない人も。初めて満員のなぎさ号を体験でき、嬉しかったです。こんな日は、特に住民の脚として大活躍してくれます。
バス停がリニューアルされてなぎさ号の存在感がアップ!海岸沿いのBBQの利用客にもなぎさ号を知ってもらえると、土日の利用が増えるかもしれませんよね。
利用できる時は、片道でもなぎさ号に乗るようにしています。市内でも珍しいコミュニティバス?として、絶えずにいてほしいです。姪タクさんのなぎさ号、これからもよろしくお願いいたします^_^
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