うみ・やま・ひとを巡るバスハイク〜今宿の魅力再発見の旅

うみ・やま・ひとを巡るバスハイク
〜今宿の魅力再発見の旅

文 写真 末本圭子

2022年10月30日、今宿バス旅第3回「うみ・やま・ひとを巡るバスハイク」が開催されました。(主催:今宿うみやまひとプロジェクト)
今宿周辺地域の方々に、身近なのに気づいていなかった奥深い今宿の歴史や自然をもっと知ってもらうための企画です。

コミュニティバスなぎさ号の運行を担う姪浜タクシーの協力のもと、マイクロバスでさいとぴあ発着、大塚古墳、唐津街道、長垂海岸、八雲神社、筑前堀、野外活動センターというコースをまわりました。
新しく今宿に住みはじめた親子、九大の関係者、西都や今宿の住民という多世代での散策になりました。

講師は郷土史家の大内士郎氏。大内さんは地元のメンバーとともに今宿小、玄洋小、西都小で毎年、郷土学習の時間に、子どもたちを現地案内しています。

化学肥料が普及する前は、玄海島から肥溜めを購入し、船で運んでいたそうです。循環型の経済の一面を知りました。

創業昭和48年以来、離れの個室がある、いろり焼き・筑前堀の女将には博多ういろうの開発についての話を聞きました。

立ち寄った八雲神社で獅子舞に関わる地元の人の話を聞きました。八雲神社と金印のつながりについて参加者にとっては初耳で、歴史のもうひとつの説に引き込まれました。

“博多うつし”と呼ばれ、いろいろな伝統行事が、ここ今宿に根付いている話もありました。
「大内さんの話がおもしろくて、日常的に過ごしている今宿が、とても奥行きのあるところだと気づいた」

「大内さんの解説で、いつもの風景に愛着がわいた」

「今、自分たちが立っている場所に思いを馳せるいい機会になった」

「多くの方々が今宿に関心を寄せて参加していることが、地元としてうれしい」などの

感想が、最後のふりかえりで出ました。

その後、今宿野外活動センターの伊崎所長に、海が見える絶景ポイントを案内してもらいました。オートキャンプサイトは、キャンセル待ちが出る盛況ぶりだそうです。

大学生と新社会人の若いメンバー5人が進行役となり、グループごとにふりかえりをしました。

参加した大学生たちの感想です。

「今日1日で出会えた地域のすてきな方々の考えやこれまでの人生について、もっと聞きたいと思った」

「ふだんは話すことのない地域の人、年代の違う人と、今宿をより良くできないか、いっしょに考えられてとてもおもしろかった」

地域のおとなたちの感想は「若い人・中年・高齢者いっしょの良き時間となった」

「様々な世代が話し合うことで、良い発想が生まれる機会になった」

バス旅ワークショップのまとめ (詳細) https://drive.google.com/drive/folders/1YigdFR0cy1wvzxe7dtc1R7xHOnBVDC53

今回の企画は、今宿周辺地域の人に、身近に自然や歴史を楽しむ場所としての今宿を知ってもらうためのバスハイクです。
多世代で散策し、意見交換を行い、今後の今宿の活動に生かしたいと思います。
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協力:姪浜タクシー 柴田酒店 青木獅子舞保存会 玄洋公民館赤瀬さん 今宿公民館古  川さん 野外活動センター伊崎さん さいとぴあ 筑前堀吉田さん 

今宿で、野枝に学ぶ

今宿で、野枝に学ぶ

3月18日に、今宿の地を訪れました。明治期の、婦人解放運動家で知られている伊藤野枝の墓石を見に行くためです。

写真・文=村社菜々子

きっかけ

大学で催されたイベントがきっかけで、野枝に興味を持ちました。昨年の10月頃に、作家の村山由佳さんの講演会があり、課題本として扱われたのが『風よあらしよ』でした。伊野枝の出身地が今宿であると聞き、いつか訪れてみたかったのです。

↑村山由佳さん作、野枝を主人公とした小説『風よあらしよ』

昨年の12月後半、友人らと叶岳を訪れました。インターネットで検索したところ、この山の中に、野枝の墓石があるとの情報を得ました。二時間ほど山の中を歩き回りましたが、見つかりませんでした。その日は泣く泣く諦めて、カキ小屋でお昼ご飯を食べて帰りました。

↑叶岳の5合目あたりから見えた、今宿の景色

リベンジ

横川さん(※今宿プロジェクトの立ち上げメンバーで、当時九大法学部4年)にご紹介いただいた郷土史家の大内さんのご協力により、墓石のある場所を案内していただけることになりました。大内さんによると、野枝の墓石は叶岳ではない、別の山奥にあるとのことでした。

JR今宿駅から車で10分ほど、ローソン今宿大塚店へ。そのすぐ隣にあった曲がりくねった細い道を進んでいきました。車の窓から見る景色は次第に緑が増え、道も狭くなっていきました。

たどり着いた山奥のさらに奥へと進むと、舗装された道から外れた目立たない場所に墓石がたたずんでいました。山は赤土で覆われていたためか滑りやすく、靴は落ち葉だらけに。直垂海岸を見ることができる場所にあると本に書いてありましたが、周りは木が茂っていて、海を拝むことはできませんでした。

↑ついに、墓石とご対面

墓石の周りには古墳があり、大内さんによると400~500もの古墳が眠っているそうです。

古墳だけでなく、イノシシを捕獲する罠もどこかに埋まっているそうです。

↑墓石のすぐ近くにあった、古墳らしきもの(落ち葉で分かりにくいが、少し地面がへこんでいる)

 おわりに

女性の解放を、100年も前から主張していた野枝に対して、尊敬の念を抱きました。一方で、記念碑や看板といった目印になるものが少ないことが不思議でした。全国から訪ねてきても、見つけることができずに帰ってしまう人も多いそうです。

野枝の没後100周年という節目に、今宿を訪れて野枝に学ぶ機会に恵まれ、嬉しく思います。このご縁を大事に、筆者も少しずつ発信をしていこうと思います。