九州大学と今宿うみやまひとプロジェクトの交流会(2)

2025年1月28日、今宿上ノ原のいろり焼き筑前堀で、今宿プロジェクトと九州大学大学院芸術工学研究院をはじめとする研究者の方々との交流会を開催しました。
コミュニティバスなぎさ号の存続のため、2019年から地域と行政と大学が協力して始まった「今宿うみやまひとプロジェクト」(通称:今宿プロジェクト)の活動をふりかえり、今後について多くの助言をいただく時間となりました。

九州大学のみなさんとは、共同研究として活動してきましたが、その後もこのように見守っていただき、貴重な助言と励ましをいただいています。

張 彦芳

九州大学大学院芸術工学研究院 准教授

今回、地域の方々、企業の皆様、行政の方々が参加され、熱い議論が交わされた素晴らしい会でした。 私は本プロジェクトのメンバーとして、2022年の終了後、今回初めて改めて様々な視点からプロジェクトを振り返る機会を得ました。まず、地域の課題に強い想いを持つ皆様のおかげで、このプロジェクトが持続的に続いていることに感銘を受けました。最初のなぎさ号の課題からここまで地域全体のプロジェクトへ展開の道のりでは、予算の確保や運営体制の維持など、多くの課題を乗り越えながら挑戦を続けてこられたことと思います。 今後、さらに良いプロジェクトを展開するためには、今宿内部の連携を深めるとともに、九州大学、市外の関係者、さらには国際的なネットワークとの連携が重要になると考えます。また、議論だけで終わらせるのではなく、具体的な連携プロジェクトを立ち上げ、より多くの人々を巻き込むことで、地域の活動をさらに活性化させ、より強い絆を築いていけるのではないでしょうか。

伊藤慎一郎

京都産業大学 情報理工学部 准教授

「動き続けていると、つながってくる。」これは、今回のミーティングで印象に残った言葉です。「今宿うみやまひと」プロジェクトは、地域のバス「なぎさ号」を守る活動から始まり、地域のメディア「今宿タイムズ」や文化継承の取り組みへと広がってきました。 議論を通じて、「なぎさ号」は単なる交通手段ではなく、人の思いを運ぶ“移動体メディア”になり得ることを実感しました。また、九大生のように入れ替わりながら地域に関わる存在も、変化を生み出す大切な要素です。 今宿の海と山に囲まれた豊かな自然環境は、多様な創造的活動を受け入れる余白を持っています。地域に残る遊休資産を、アーティストやリサーチャーが滞在し、活動できる場として活用することも、新たな価値を生み出す可能性があると感じました。さらに、「なぎさ号」をアートギャラリーにする、今宿歴史カルタをラップにするなど、地域の文化を新しい形で継承するアイデアも生まれました。 短い時間でしたが、地域の皆さんの取り組みや想いに触れ、大変刺激を受けました。 次はもっとゆっくりと今宿で過ごしたい。

稲村徳州

九州大学大学院芸術工学研究院 助教

今宿のさまざまな取り組みについて話には聞いていましたが、実際に地域の皆さまと交流し、その多様で情熱的な活動に心を打たれました。特に広報活動の負担が大きい中、既存コンテンツの活用による新たな価値創出の可能性を感じました。その一例が、筑前今宿歴史かるた(今宿かるた)をデジタル技術で広めるアイデアです。点在する読み札は地域性があり、訪れる人の関心を引く魅力を持っています。しかし、それを効果的に届ける仕掛けが必要です。そこで、世界中で使われる地図アプリ(例:Google Maps)を活用し、読み札を撮影・アップロードして内容や追加情報を掲載すれば、多くの人の目に留まります。また、機械翻訳を通じて日本語を母国語としない人にも伝わり、インバウンド観光の可能性も広がるでしょう。

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Lascari Benitez Angelica Zoe(ラスカリ・ベニテス・アンジェリカ・ゾエ)

九州大学 芸術工学府 修士

Ideas:

Utilize buildings to revitalize them and give them a new purpose:

• Dormitories for Kyudai students

• Dormitories for artist residencies

• Community cafeteria

It could be possible to collaborate with residents of the Fukuoka Asian Art Museum program and students from Kyushu University.

The vacant cafeteria could be used to offer meal services for these artists and students, as well as a meeting point for the community and these individuals.

Investment would be required to renovate the building and rent the cafeteria space.

Take advantage of the privileged location of the area to make it a hub for local cyclists: it is accessible by bike and does not require many facilities:

• Sale of bento boxes with local ingredients

• Coffee and refreshing beverages

Not much investment is required, but extensive promotion is needed.

Traducción al japonés:

上記の日本語訳:

アイデア:

建物を活用して再生し、新しい用途を与える:

• 九大の学生向けの寮

• アーティストのレジデンス用の宿泊施設

• コミュニティカフェ

福岡アジア美術館のプログラムの居住者や九州大学の学生と協力することが可能です。

空いているカフェテリアを利用して、これらのアーティストや学生向けの食事サービスや、コミュニティとこれらの人々のための集いの場として提供できます。

建物の改修やカフェテリアのスペースの賃貸には投資が必要です。

地域のサイクリストのための拠点として、この場所の利便性を活かす: 自転車でアクセス可能で、多くの施設を必要としない:

• 地元の食材を使った弁当の販売

• コーヒーや清涼飲料

多くの投資は必要ありませんが、広範な宣伝が必要です。

王 平成

九州大学 芸術工学府 研究生

九州大学「今宿うみやまひと」プロジェクト視察の感想

九州大学芸術工学府の学生として、私は「今宿うみやまひと」プロジェクトの視察に参加する機会を得ました。この活動を通じて、プロジェクトの背景や発展の経緯、そして成果について深く学ぶことができました。

今回の視察は、今宿という地域の独自の魅力を改めて認識させると同時に、デザインがコミュニティの活性化に果たす役割について考えるきっかけとなりました。

「今宿うみやまひと」の中で最も印象的だったのは「なぎさ号」です。なぎさ号は、日常生活の場と多様なスポットを結びつけるだけでなく、地域住民と観光客の交流の場を生み出していました。

このプロジェクトでは、住民や学生、専門家が共同で今宿の研究や計画に参加しています。例えば、ワークショップを通じて住民の意見を集め、デザイン思考を活用した改善案を提案していました。この手法は住民の参加意識を高めるだけでなく、地域の実情に即したプロジェクトの実現に貢献していました。

物理的なデザインに加え、「今宿うみやまひと」は人と人とのつながりを重視しています。講演会や体験イベントなどを通じて、異なる世代の住民が交流する機会を創出し、外部からの訪問者も巻き込んでいました。

チェンフェイシュエ

九州大学 芸術工学府 研究生

この度の活動に参加できて、とても嬉しく思います。GGJが今宿にもたらす影響について知る良い機会となりました。ここ数年、コロナの影響でプロジェクトが遅れることもありましたが、逆にコロナク後には新たな機会とチャレンジが生まれたと感じています。経済の影響で人々の消費が抑えられる中、より多くの人々が自然へ足を運び、素朴な方法で観光を楽しむようになりました。

今宿は自然環境に恵まれており、これまでにも小中学生向けの天体観測教室や昆虫に関する科学教室を開催してきました。今後は、植物や地理に関する科学教室の開催や、キャンプイベントを企画することで、より多くの大人の観光客を今宿に呼び込むことができるかもしれません。

      九州大学のみなさんと地域に人たちと(筑前堀にて)

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